昭和40-50年ごろ製作された、当時の最高級グレードの一式についていた面になります。亡くなられた先生の奥様からお譲りいただいたものです。サイズ調整して使う予定がそのままになってしまい、試着しただけの未使用だったそうです。他県の息子さんの元へ身を寄せるとのことで、いい機会だからどなたか使って欲しい、と縁あってお譲りいただきました。当時100万円近くした最高級のセットだったそうですが、私のサイズ感にはしっくりこなかったので、お好きな方はぜひどうぞ。戦前から続く東京を代表する名店、神田伊勢屋の流れを組む水道橋尚武堂にて販売された総紺皮仕立面になります。毛氈が芯材に入っていると思われるのですが、しなやかで大変軽量な布団の作りとなっています。面金はマルロの洋銀ですが、仕立ての腕が大変良いため、バランス良く重さを感じにくい仕上がりになっています。また、洋銀の特徴として、適度な重さで衝撃に耐え、腐食にも強いという点も見逃せません。持った重さより着けた重さが軽く感じるという道具は、最近の方には馴染みがなく解りにくいかもしれませんが、ソレにあたります。軽量ながら布団のコシもあり、充分なしっかり感があります。昨今の道具に比べ、いかにも武具といった雰囲気を濃厚に纏っている印象です。剣道具業界の最盛期、昭和の時代を担った老舗の高級品だけあって、仕立てはもちろん当時ならではの皮質、布団の刺しに至るまで惚れ惚れするような見事な作りとなっております。特に面の組み上がり、精緻な布団の刺し込みは見ての通り、素晴らしい仕上がりです。サイズは実寸で布団全長114センチ、カンヌキ下26センチ、布団幅19.5センチ包輪縦外寸23センチ横15センチになります。ややタイトな着用感が好みの方にはドンピシャだと思います。昔の道具は今より少しきつ目を、少しずつ奥まで嵌め込んで使う、と聞くのでそういう作りなのかもしれません。汗をかいた状態で嵌めたまま、面鉄を床につけ上からいちにのさん、で押してもらう...そうやって繰り返し顔の形にフィットさせていくのが関東の面の特徴です(現在製作されている著名な関東の面は、最初幾分キツいですが包輪が痩せた頃ジャストになる作りです)全て一式を作れる職人が姿を消しつつある昨今だからこそ、この時代の良い品をお探しの方に是非！検小手胴垂